GMT、UTC(協定世界時)、 TAI (国際原子時)

1884年10月のワシントン国際会議は、とりわけフランスと英国との間の激しい議論を経たうえで、経度計測のための本初子午線をグリニッジ子午線とすると決定しました。

ロンドン南東部郊外にあるグリニッジは、1946年までグリニッジ王立天文台が所在していた街です。

この子午線は、タイムゾーンや、標準時、すなわちGMT(グリニッジ標準時)を決定するためにも用いられました。1日は24時間ですので、経度が15°(1時間)ずつ異なる24の区域に地球を「分割」し、各区域の中央の時間をその区域の時間とします。GMTは、正午に計算された平均太陽時のことです。GMTシステムは1885年1月1日に全世界で採用されました。

ただし、タイムゾーンは国境に従うため、中には世界時から外れる国もあります。たとえば中国は全領土で統一した時間を採用しており、また、インドは標準時との時差が5時間半となっています。

1982年1月1日、国際電気通信連合(UIT)の決定を受けて、GMTに代わりUTC(協定世界時)が採用されました。地球の自転ゆえに、1日の長さは年間を通して一定ではないため、世界時を補正するためにUTCが採用されたのでした。国際協定により、UTCはGMTと等しいことになっていますが、その測定方法は異なります。GMTは正午から測定されており、一方、UTCは午前0時から測定されています。UTCは世界の法的な時刻の基礎となっています。

UTCは国際原子時(TAI)によって導き出されており、その差はわずかな整数秒、現在は32秒のみです。このようなうるう秒が国際地球回転事業の主導によって追加され、ここ何年にもわたって概ね、太陽はUTC12時に必ずグリニッジ子午線を超えるようになっており、両者の差は10分の9秒以内とされています。

常用時とは、その国の中で使用されている時間のことです。約70カ国でサマータイムが導入されています。一年のうちの特定の期間(一般的には北半球では4月から9月まで、南半球では10月から3月まで)は、1時間時計を進めます。日本はサマータイムを使用していない唯一の先進国です。

国際日付変更線は、グリニッジ子午線から見て地球の反対側にあります。パリではなくグリニッジが子午線に選ばれた主な理由の一つは、その対蹠地が一切、土地にかかっていないためでした。